【2026年10月〜】インボイス経過措置が80%から70%へ!仕訳入力の選び方・消費税の基本と「簡易課税」で負担を減らすコツ

仕組み化・時短術

2026年10月1日より、インボイス(適格請求書)制度の経過措置が見直され、免税事業者からの仕入れ・経費にかかる消費税の控除割合が「80%控除」から「70%控除」へと引き下げられました。

「そもそも消費税ってどういう仕組みで納めているんだっけ?」という基本のおさらいから、会計ソフトでの日々の仕訳入力手順(税区分の選び方)、そして請求書の番号チェック地獄から解放される「簡易課税制度(簡易計算)」まで、実務目線で分かりやすく解説します!

そもそも消費税ってどういう仕組み?誰が払うの?

消費税を納税する義務がある人

すべての事業者が消費税を納めているわけではありません。消費税を国に納める義務(納税義務)があるのは、主に次のいずれかに該当する事業者(課税事業者)です。

  1. 基準期間(前々年・前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えている事業者
  2. 売上1,000万円以下でも、「インボイス発行事業者」として登録した事業者

※売上1,000万円以下でインボイス登録をしていない事業者は「免税事業者」となり、消費税の納税義務が免除されています。

消費税の計算のキホン:「預かった分」から「払った分」を差し引く

消費税の納付額は、基本的にとてもシンプルな引き算で計算します。

納める消費税 = お客様から預かった消費税 − 経費や仕入れで支払った消費税

  • 売上のとき: お客様から商品代やサービス代と一緒に消費税を「預かり」ます。
  • 経費・仕入れのとき: 仕入れ代金や通信費、外注費などを支払う際、すでに消費税を「前払い」しています。

確定申告のときは、「預かった消費税」から「すでに支払った消費税」を差し引いて、手元に残った差額だけを国に納めるルールになっています。この「支払った消費税を差し引くこと」を専門用語で「仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ)」と呼びます。

インボイス制度で何が変わった?なぜ「70%」が問題になるの?

では、なぜインボイス制度が始まって大騒ぎになっているのでしょうか?

それは、「相手がインボイス登録業者でないと、支払った消費税を全額差し引けなくなったから」です。

相手が免税事業者(インボイス未登録)の場合、こちらは消費税込みでお金を払っているのに、国に税金を納めるときに「支払った消費税」として認めてもらえず、こちらの消費税負担が増えてしまいます。

ショックを和らげる「経過措置」が10月から70%にダウン

急に「全額引けません」となると事業者の負担が重すぎるため、段階的に控除割合を減らしていくクッション期間(経過措置)が設けられています。

  • 〜2026年9月30日: 支払った消費税の80%を差し引けた
  • 2026年10月1日〜: 支払った消費税の70%しか差し引けない(★現在ここ)
  • 2028年10月1日〜: 支払った消費税の50%に減少
  • 2030年10月1日〜: 支払った消費税の30%に減少
  • 2031年10月1日〜: 控除ゼロ(完全廃止)

具体的にどれくらい税負担が増える?

たとえば、インボイス未登録のフリーランスへ税込11万円(うち消費税1万円)の外注費を支払った場合:

  • 9月まで(80%控除): 8,000円差し引けた(実質負担は2,000円)
  • 10月から(70%控除): 7,000円しか差し引けない(実質負担が3,000円に増加!)

仕入先や外注先が多い企業ほど、10月以降はじわじわと消費税の納付額が増えることになります。

実務の手順:会計ソフトでの税区分(仕訳)の選び方

領収書や請求書を1枚ずつ入力している本則課税の方にとって、一番気になるのが「入力時の税区分の選び方」ですよね。

これまでは、取引先がインボイス登録しているかどうかに応じて、以下のように選んでいたかと思います。

  • インボイス登録のある相手: 【課対仕入 10%(100%控除)】
  • インボイス未登録(免税)の相手: 【課対仕入(控除80%)】

これが、2026年10月1日以降の取引からは以下のように変わります!

【10月1日以降の仕訳入力ルール】

  • ① インボイス登録のある相手(登録番号ありの請求書・レシート):
    これまで通り 【課対仕入 10%(100%控除)】 を選択
  • ② インボイス未登録・インボイスなしの相手(免税事業者など):
    【課対仕入(控除70%)】(または「経過措置70%」)を選択!

クラウド会計(マネーフォワード、freee、弥生会計など)では、税区分の選択肢に新しく「控除70%」が追加されています。

入力時の落とし穴:「過去の仕訳コピー」に注意!

毎月発生する定期的な支払い(家賃、外注費、顧問料など)を、過去の仕訳から「複製(コピー)」して登録している方は特に注意が必要です!
取引日が10月以降になっていても、税区分が「控除80%」のままコピーされてしまうミスが多発します。インボイス未登録の相手先については、必ず税区分が「70%」に切り替わっているか確認しましょう。

判定日は「請求日」ではなく「業務完了日」!

  • 9月中に完了した業務(納品済み): 請求書が10月に届き、支払いが10月になっても「80%控除」でOK
  • 10月以降に実施・納品された業務: 「70%控除」を選択します。

番号チェックと税区分選びから逃れる「簡易課税(簡易計算)」とは?

毎月届く領収書や請求書を見て、
「このレシート、番号あるかな…」
「未登録だから70%を選んで…」
と仕分ける作業は、経営者やバックオフィスにとって本当に骨の折れる作業です。

そこでおすすめなのが、「簡易課税制度(かんいかぜい)」という仕組みです。

簡易課税の仕組み:仕入れのレシートを一切見ない!

通常の計算方法(本則課税)は、実際の領収書をすべて集めて「100%か70%か」を細かく判定します。

一方、簡易課税は「預かった消費税に、業種ごとに国が決めた割合(みなし仕入率)を掛けるだけ」で納付額を計算します。実際の経費や領収書の金額・インボイスの有無は一切関係ありません!

  • 第1種(卸売業): 90%
  • 第2種(小売業): 80%
  • 第3種(製造業・建設業など): 70%
  • 第4種(飲食店業など): 60%
  • 第5種(サービス業・情報通信業など): 50%
  • 第6種(不動産業): 40%

たとえばサービス業(みなし仕入率50%)で、売上にかかる消費税を100万円預かった場合:
「支払った消費税は一律50万円(50%)とみなす」ため、納める消費税は自動的に「100万円 − 50万円 = 50万円」と一発で決まります。

簡易課税のメリット

  1. インボイスの有無や70%経過措置を完全に無視できる
    仕入先がインボイス登録していようが免税事業者だろうが、納付額の計算に関係ありません。「70%を選ばなきゃ…」という日々の仕訳のストレスがゼロになります。
  2. 経理処理が圧倒的にラクになる
    仕入税額控除の複雑な判定が不要になるため、日々の記帳の手間が大幅に減ります。
  3. 業種や利益率によっては節税になることも
    人件費など「消費税がかからない経費」が多い事業の場合、実際の消費税支払額よりもみなし仕入率で計算した方が、納める税金が安くなるケースがあります。

簡易課税を選ぶときの注意点

  • 売上5,000万円以下が対象: 基準期間(前々年・前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下の事業者のみ使えます。
  • 事前に届出が必要: 適用したい年の始まる前日までに税務署へ届出を出す必要があります。
  • 原則2年間は戻せない: 一度選択すると2年間は本則課税に戻せません(大きな設備投資や高額な仕入れを予定している年は損をすることもあるため、事前に税理士さん等へシミュレーションしてもらうのが安心です)。

制度変更に振り回されない「仕組み」を作ろう

インボイスの経過措置は、今後も段階的に控除割合が下がっていきます。
そのたびに手作業で右往左往するのではなく、

  • 会計ソフトの税区分ルールを最新(70%)にする
  • 自社にとって「簡易課税」が有利か試算してみる

など、「気合や根性でカバーせず、仕組みで負担を減らす」工夫を取り入れていきましょう。

いなみサポートでは、ひとり起業家様や中小企業様が本業に専念できるよう、日々の記帳準備、請求書整理、バックオフィス業務の仕組み化をサポートしています。「経理の負担を減らしたい」「業務をすっきり整理したい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。